「ゲージツカントクの部屋」沼尻竜典×原田節

びわ湖ホール芸術監督・沼尻竜典が「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2019」に出演する原田 節さんに直撃インタビュー!

沼尻:なぜこの楽器を始めたんですか?
原田:中高生の時にアマチュアロックバンドをやっていて、エレキも弾いたしドラムも叩きましたが、そのうちキーボードをやることが多くなってきたんです。電子キーボードにちょうど興味が湧いたころ、ふと聴いたのがメシアン作曲の「トゥーランガリーラ交響曲」のレコードで、その中に使われているオンド・マルトノの表現力やパッションに圧倒されてしまいました。
沼尻:だからと言って、すぐに習える楽器ではありませんね。
原田:そうなんです。ですから大学を卒業してからパリへと飛んで行き、当時随一の奏者であったジャンヌ・ロリオのコンサートで無謀にも楽屋のドアをノクして弟子入りを志願、OKをいただきました。オンド・マルトノという楽器の持つエネルギーに突き動かされて、そこまで進んでしまった感じでしたね。
両親は音楽の専門家ではなかったせいか特に反対もせず、そんな無茶を見守ってくれたのも幸いでした。
沼尻:今回のプログラムはバッハ、この楽器の祖であるメシアンから自作まで、多彩ですね。
原田:ヴィオラ・ダ・ガンバという楽器は、音域も楽器の特性もどことなくオンド・マルトノと似ているんです。ですから違和感なくお聴きになれると思います。
メシアンの「水」は作曲者自身の解説に「これは祈りである」と書いてあって、音楽祭のテーマにふさわしいと思いました。自作を弾くのは、やはりこの楽器の特性や可能性を一番理解しているのは奏者自身だと思うからです。
沼尻:良いコンサートになりそうです。小ホールなら後ろの席からでも楽器がよく観察できるでしょう。

原田 節 (オンド・マルトノ) ~神に捧げる官能の響~

公演番号 27-S-2

4/27(土)11:00~11:40 小ホール

詳しくは こちら

オンド・マルトノを発明したモリス・マルトノ(1898 ~ 1980)とは?

フランスの音楽家で、電気技師。アマチュアオーケストラの指揮者でありチェリストとして音楽に対する造詣が深い人でした。第1次大戦に通信兵として招集され、兵役中に、三極真空管から発信される音をヒントに、楽器に応用する方法を10年以上にわたって研究。電波の力で音を出す全く新しい楽器を開発しました。1928年5月、パリのオペラ座で「オンド・ミュジカル」として最初の公開演奏会を開催。その後、改良を重ねて現
在の「オンド・マルトノ」を完成させました。1931年2月には来日し、約1 ヵ月滞在。その間、楽器の演奏も披露しました。チェロの奏者でもあったモリス・マルトノは、チェロの演奏を念頭にこの楽器を開発したため、いくつかの独創的な工夫が盛り込まれています。